天網
この作品シリーズ「天網」は、中国が2015年に導入した国民全体を共産党の完全なコントロール下に置こうとする大規模監視システム「天箱・スカイネット」プロジェクトから来ている。
勿論私の「天網」はこれとは真逆で、仏教の「縁起」の考えに近い。
縁起とは、「因縁生起」の略であり、あらゆる物事には起因があり、全てが綿密に繋がり作用しあっているという考え方だ。
特に日本人は元来、個よりも集団を大切にしてきた。人々は互いに関係し合い、支え合って暮らし、皆が縁で結ばれているという考えが根底にある。
それは目の前の人だけでなく、時代を超え、先人たちにまで及ぶ四次元的に張り巡らされた、正に「天の網」なのである。
他人や周りの物事に無関心になりつつある現代社会でこそ、目の前にいる人や周りの物事の目に見えない糸を意識的に感じ取り、そこに強い「縁」を想起することは、ビジョンを広げ、多様性を受け入れることに繋がる。 |